入選
《親切はこんなにも温かい》
鳥取市立国府中学校 1年 前田 桃子
去年の6月に、私は思わぬ体験をしました。父が、交通事故にあったのです。いつも通り仕事に向かっていた途中、車との接触事故にあってしまいました。今もまだ、意識は戻りません。
父のことが大好きな私は、その話を聞いたとき、とても絶望しました。母も叔父もおばあちゃんも、みんなが苦しい状況でした。私は長女なので、我慢して泣かないように笑顔でいたけれど、今にも胸が張り裂けそうなほど苦しい気持ちでいっぱいな日々でした。
でもそんなとき、地域の人たちが心配して、家まで様子を見に来てくださいました。おばあちゃんや叔父も、家を手伝ってくれました。学校でも、先生や友達は普通に接してくれました。みんなは私の事情を知っているのに、そのことには触れず、いつも通りに接してくれたのです。周りの人たちがとても優しくて、温かくてすごく安心できたし、頑張ろうと思えました。言葉では言われてないけれど、「大丈夫だよ」「無理しないでね」と伝わってくる、温かい親切でした。
そして、前向きな気持ちになった私は、父の意識が戻ることを願って、千羽鶴を折ることにしました。母もおばあちゃんも、弟も、先生も、みんなが協力してくれて、父の仕事の同期の方たちも、千羽鶴を折ってくださいました。目には見えない人の温かさや、周りの人たちの優しさを、父はこんなにも愛されているのだということをすごく実感しました。
人は、一人では生きていけません。周りの人たちや、自分の知らないところで働いてくれている人たちが、私たちを支えてくれているからです。今があること、ご飯が食べられること、学ぶことができるのもすべて、誰かが支えてくれているからなのです。
世界のどこかでは、人と人が傷つけあっているところがあります。それは、とても悲しいことです。きっとその人たちは、自分がどれだけの人に支えてもらっているのかを知らないのでしょう。なぜ互いを認め合わず、傷つけあうのでしょうか。なぜ世の中は、こんなにも悲しいできごとが次々に起こるのでしょうか。それはきっと、親切を知らない人たちがたくさんいるからでしょう。
私は、人と人が傷つけあうのではなく、温かい親切であふれる世の中になってほしいと心の底から思います。小さな親切でもいいのです。その小さな親切が世界中に広がったら、きっと大きな大きな親切になるから。
私が周りの人たちに教えてもらったように、今度は私の親切で、親切がこんなにも温かいのだということを、たくさんの人に伝えていきたいです。


