第48回 作文コンクール入賞作品
第48回 作文コンクール入賞作品

入選

《松江市立義務教育学校八束学園4年》
伊藤 恵理「小さな親切」

 国語辞典に、「親切」とは、『思いやりが深く、心をこめて人につくすこと』と書かれています。私が「思いやり」という言葉を知ったのは、ようち園の年長組のときでした。
 安来のアルテピアで、歌手の藤田恵美さんといっしょに、クラスのみんなで『思いやりのうた』を手話を使って歌うコンサートに参加したことからでした。
 コンサートまでに、先生から「思いやり」が相手の気持ちになって考えることだということや、手話が耳の聞こえない人の言葉だと教えてもらいました。
 私は、それまで耳が聞こえない人がおられて、その人たちは、話をされるのも私たちのようにふつうにしゃべったりできないということを知りませんでした。耳が聞こえなかったら、人が何をしゃべっているのかもわかりません。手話は、本当に大事なものだと思いました。
 最近、久しぶりに藤田さんが手話をしながら『思いやりのうた』を歌っている動画を見てみました。歌の歌詞も手話も、とてもなつかしく思い出されました。
 その中で、私が好きなところは、『ありがとうって言われたら、なぜかうれしくなったよ。思いやりは、世界を幸せにするまほう』というところです。
 「思いやり」という言葉を表す手話も、自分が今持っている心をなでるようにして表します。
 この手話をしながら、ようち園のとき、「思いやり」とは人にやさしくすることなのだと感じたことを思い出しました。
 私も、人にやさしくしてもらって、とてもうれしかったことがあります。それは、1年生になるとき、安来から転入して学校でほとんど知らない人ばかりで、不安だったときのことでした。
 大きい学年の人たちが、自分から「恵理ちゃん」と声をかけてくれました。3年生の人たち、5年生の人たち、6年生や7年生の人たちまでもが、校庭で遊ぼうとしている私に、ブランコでいっしょに遊んでくれたり、教室にも様子を見に来てくれたりしました。
 たてわり班のそうじでいっしょの大きいお兄さんたちも、そうじのときはもちろん、学校の中で出会ったときも声をかけてくれたりしました。不安でいっぱいだった私は、そのことがとてもうれしかったことを覚えています。
 私もこれから、自分の方からこまっている人に、声をかけてあげられる人になりたいと思いました。前期ブロックのリーダーとして、下の学年の子どもたちや、手話で学んだように、しょうがいを持っておられる方など、自分ができることをやってあげようと思います。
 声をかけてあげること、それが「小さな親切」だと思います。「ありがとう」と言ってもらえたら、きっとうれしいし、自分も幸せな気持ちになれると思うからです。

 

伊藤さん

2023年11月24日開催 【東京】全国表彰式の模様

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