第41回 作文コンクール入賞作品
第41回 作文コンクール入賞作品

入選

《鳥取県》鳥取市立福部未来学園中学校1年 岡部 礼隼
『真のやさしさとは』

入選 日本人は優しい。私たちは、外国の方々からこのように評価されています。実際、日本人の優しい国民性や細やかな気づかいを話題にしたテレビ番組などを最近よく観るようになりました。日本人の間にも自分達は優しい人間性をもった民族だという意識が広まっているように思います。でも果たしてそれは本当でしょうか。
 六月のある日、僕は兄と汽車に乗っていました。空席もあったので外の景色を眺めながら二人で話をしていました。ある駅に止まった時、五十代位の女性が乗車してきました。白いつえを持ちサングラスをかけていたので、目の不自由な方なんだろうなと思いました。女性は、車内の手すりにつかまりながら空いていた席に座りました。しばらくしてある駅に到着したとき、その女性が降りようと立ち上がりました。僕は、「ここで降りるんだな。」と思いながら見ていました。すると外国人の女性がすっと席を立ち、目の不自由な女性が安全に出口まで行けるように手をそえてゆう導し始めました。車内にはと中から乗車してきた多くの大学生もいましたが、しゃべったり、スマホをいじったりしていて誰も女性を気にかけている様子はありませんでした。
 僕は何かとてもはずかしい気持ちになりました。たくさんの日本人の乗客が気にもかけていない中で、外国人の女性はその場の状況を素早く把あくして行動に移していたことにとても驚きました。僕は「手をかしてあげた方が良いのかな。」と思いながら実際には見ていただけで行動に移すことができませんでした。他の乗客達もどんな理由があったのか分かりませんが、何も行動をおこさなかったという点で外国人の女性とは明らかに違っていました。汽車を降りるまで「OK? OK?」と声をかけながらよりそっていた外国人の女性は本当に格好いいと思いました。
 日本人は相手のことを気にかけたり、その人の気持ちになって考えられるという点で優しいと評価されるのは本当かもしれません。でも本当に大切なのは、何かを感じた時それを行動に移せる勇気だと思います。気づいていても行動に移せなければ気づかないのと同じです。本当の意味で優しいというのは、この外国人の女性のような人のことを言うのだと思いました。今回のことを通じて、私たち日本人は持ち前の優しい心で感じたことを更に行動に移す勇気を持つことが必要なんだと外国人の女性から教えられたような気がしました。

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